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高橋的、スタートアップを正しく立ち上げるための方法論

社内のメンバーや、弊社にお誘いしている方と話しているときに、

・普段どんな考えで意思決定しているのかよくわからない
・事業立ち上げに関する考え方をもっと知りたい

という声をちらほら聞くようになってきました。

自分は、自分の考えを人に話すのが苦手です。
それが原因で、自分の中では一貫性のある意思決定に思えるものも、端から見るとそのプロセスはブラックボックスになってしまっているのかもしれないなと思いました。

しかし、会社のことについて最後の意思決定をするのは自分だし、それは伝えられなければ何も始まらないので、今回は、その大元の考え方になっている、「高橋的、スタートアップを正しく立ち上げるための方法論」のような考え方を共有させて頂きます。

前半が心構え的なところで、後半が少しテクニカルな部分です。

これが完璧だとは思わないし、まだまだこれから変わっていくものである、というのは前提ですが、そのうえで「日々こんな視点で事業を見ています」というのが少しでも伝われば良いなと思います。

あとはこれが議論のきっかけになって、自分の考え方のブラッシュアップにつながれば良いなーということとかも考えています。

 

アウトライン

0.”誰かのために”が全て
1.ビジネスの基本原則
2.スタートアップの社会的な存在意義は「課題の発見」
3.スタートアップは”極小”から始まる
4.事業化は不確かかつ重要なことから
5.継続的な拡大

 
 

0.”誰かのために”が全て

サプライズでプレゼントを渡すときのような気持ちが大事
サプライズでプレゼントを渡すときのような気持ちが大事

「0」ってなんやねん、という感じですが、この考えが何よりダントツで重要である、また、事業作りの前提である、と考えているため、あえて0としてみました。
コレができていれば、とりあえず何かしらの事業はできる気がするし、何をやるべきか迷ったときに一度立ち返るべきポイントもここだと思っています。

スタートアップに限らず、事業の基礎の基礎として

この話は、「3.スタートアップは”極小”から始まる」にもつながるところがあるのですが、ここで言いたいことは、スタートアップに限った話ではありません。
 
また、スタートアップでよく語られる「ユーザーの声を聞こう」という話にもつながるところはありますが、ただ単に「ペルソナを設定して、しっかりターゲティングしよう」という話だけでもありません。
 
これは、もっともっと広く、社会の構成要素たりえる事業を行うために、非常に重要なことであると考えています。何も難しい話ではないのですが、それを今まで当たり前に考えてこなかった人にとっては、まずこの点が最初の壁となると思います。これが理解できるまでは、自分で事業を興すにしろ、組織に所属して事業を行うにしろ、それが上手くいくことは殆どないと言い切れます。

自分のことより優先できる、誰かのために

事業とは、自分のやりたいことをやったり、自己実現のためにあるものではありません。そうではなく、自分以外の他の誰かの自己実現、やりたいことをサポートするから、その人から必要とされて、時間やお金を使ってくれて、結果としてそれが事業たりえるものになるのです。

そしてその過程では、どうしても、自分が大事にしているものより、その相手が大事にしているものを優先する必要がでてきます。本当は昼寝をしたい平日の日中に電話で相談に乗らなければならないかもしれないし、本当は社会問題に関するニュースを見てほしいけど、相手のためにアイドル情報を配信する必要があるかもしれません。

いずれにせよ、自分がこうであるべき、こうしたい、と思うこと以上に、相手の大事にしていること、やりたいことを尊重し、それを形にすることで、初めてそれは事業、仕事として成り立つし、それを実現して初めてその起業家は必要とされるようになります。

とにかく自分を二の次に

事業検討中の若手起業家の話を聞くと、よく、以下のような点で悩んでいる人を見かけます。

「自分が本当にやりたいことはなんだろう?」
「自分にしかできない事業、自分だからこその事業ってなんだろう?」

これを考えてしまう気持ちはよく分かるし、考える事自体は特に悪いことではないと思います。自分にしかできない事業があったら最高だと思います。

しかし、この考え方は凄く危険です。なぜなら、とにかく考えの中心が「自分のため」で、この人は一見社会をより良くするような取り組みに意欲を見せているように見えますが、実のところは自分の欲を満たすことばかりを考えているからです。

何より真っ先に自分のことを考えて、相手のことを二の次にしていては、その相手からは必要とされません。そうではなく、まず自分のことより優先できる”誰”のことを考えて、その人のために何かをやった先に、自己実現や、自分のやりたいことを見出すべきと思います。

だから、例えば”自分にしかできない事業をやる”ということは、他の誰よりもその相手のことを考えて、その人が必要とするものを作ることに誰よりも情熱を注ぐ、ということになります。ありがちなのは、自分の強みからそれを考えることですが、それでは正解にたどり着くことは永遠にありません。

(※1記事下に補足あり)

あまりにも当たり前

金八先生は、「人は人によって支えられ〜〜〜」なんて言っていましたが、社会はそもそも、それぞれの構成員が支え合うことで成り立っています。逆に、それぞれが自分を”至上”と考えて行動していては、どう考えても”社会”は成り立ちえません。

もし今、そこまで他人のことを優先せずに生活しているのに、何ら支障がなく過ごせているのであれば、それはまだ社会の構成要員になれていない証拠で、誰かに”大きな愛の傘”で守られた上でその生活が成り立っている可能性が高いです。それ自体が良いか悪いかは置いておいて、もし社会に働きかけて、何かを変えていこうとするならば、その状況はいち早く脱しなければなりません。

この考えはある種当たり前すぎて、できる人は小さい頃から当たり前にできていて、そうでなくても社会人として仕事をしているうちに多くの人が自然と会得しているもののように思います。ただ、だからこそあまり強調して指導されることもなく、また学校で教わるような内容ではないため、可能性はあるのに何もできていない人の多くがこのポイントで躓いているように感じられます。

少なくとも自分が停滞どころか、一時期下降し続けた原因は、この点の理解への不足が甚だしかったからだろうなーと考えています。

「好きな人」に向けた事業を

それに慣れていない人にとって、「自分の価値観より、他人の価値観を優先する」ことは非常に難しいことです。そこでまずオススメなのは、「好きな人」に向けた事業を考えてみることです。

彼氏/彼女に例えば誕生日のサプライズを考えるときに、普通「自分はこんなのがやりたい」なんて考えないで、「相手はなにをしたら喜んでくれるだろう」と考えると思います。事業においてもその考え方は非常に重要で、逆に嫌いな人、考えに共感できない人に対してそのように考えることは、非常に難しいと思います。

自分の場合、何か独立して、自分だけの取り組みに挑戦している人がとても好きです。だからこそ、そういった”個人事業主のような人のため”の事業を立ち上げる(つまり、自分の価値観、やりたいことより、彼らの価値観、やりたいことを優先する)ことにあまり違和感を感じません。

また、自分自身のための商品を作る、という考え方もあるし、それはそれで良いと思いますが、結局その商品をいつかは自分以外の誰かに提供することになるので、であれば、自分に似た”誰か”のことを同時に考えながら事業を組み立てていくのが良いと思います。

とにかく自分を二の次に、できれば、価値観に共感できる、好きな相手のことを第一に考えて行動していくことが、事業作りにおいて、非常に重要なポイントになると考えています。
 
 

1.事業成長の基本原則

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随分と前置きが長くなってしまいましたが、まだ殆ど前置きのような感じで、「そもそも事業が大きくなる」ということは、どういうことか、についてです。

事業を大きくする、とは、多くの信用を集めること

ざっくり言ってしまえば、お金は、その人、法人が得た信用が数値化された指標のようなものです。つまり、売上が大きい事業を作る、ということは、より多くの人から多くの信用を集める、ということになります。

信用ってなんやねん、という感じですが、例えば、夕飯においしいお肉が食べたい、と思ったときにいきなりステーキを選ぶ人がたくさんいるのは、多くの人が「いきなりステーキにいけば、美味しいお肉が、安全に、予算の範囲内で食べられる!」ということを信じているからです。突然例に出してしまいましたが、いきなりステーキは多くの人から「安全で美味しいお肉を安く提供してくれる」という信用を得ているからその事業を維持することができているのです。

信用を集めるには、”期待以上”を提供する

そして信用を集めるには何をすればいいかというと、人から期待を受けて、少なくともそれ以上の結果を返すことで、信用は得られます。その逆も然りで、期待以下の結果を提供することで、その人、法人の信用はガタッと落ちます。
例えば、何の事はない友達から紹介されたSNSに、なんとなーくで登録してみたら、そこには隣のクラスの気になるあの子のプロフィール写真がたくさん掲載されていた。これは少々大げさな例かもしれないですが、こうやって「期待以上」を提供することで、Facebookは凄まじい支持を得ていきました。

逆に、すぐには壊れないと思って買ったトヨタの自動車が、1,2ヶ月の運転で故障してしまえば、きっとスグに他のメーカーに乗り換えられてしまうことでしょう。「期待以下」を提供すれば、信用を失うことはとても簡単にできます。

信用を集めて事業を大きくするには、常に誰かしらに「期待以上」を提供していく必要があります。
勿論、常に同じ人相手に期待以上を提供するのは大変です。だから、多くの事業が他の人に対象を移し、つねに「新規顧客」を求めて横に事業を拡大していくのです。新規の方の期待値は基本的に低いので、既存の顧客よりそれを上回ることは簡単です。

期待があって初めて、信用が得られる

信用を得るために大事なことは、もう一つあります。それは、その前段階として相手からの「期待」を得ることです。

信用を得るには期待を上回る必要がありますが、多くの場合でそもそも期待すらしてもらえません。今まで何の実績もない人に、いきなり「お金を払うから、家を立ててくれ」みたいに依頼することは無いと思います。

まず期待を得なければ、実は成果を提供することはできません。
それは事業においては「マーケティング」と言われる活動で、それを軽視する人もたまに見受けられますが、事業は「期待と成果」により成長していくため、何らかの方法で「期待を得る=マーケティングを行う」必要がでてきます。

個人事業だろうが就職して働いていようが、「期待」がなければ信用は得られません。
だから、自分が何者で、どんなことができて、相手のどんな課題を解決できるかをいつでも話せることが、事業を立ち上げていく上で非常に重要なことになります。

事業では、必ず何かしらの”課題解決”を期待される

もう一つ”期待”において重要な点として、それはいつもその人の”課題解決”に関わることだ、ということです。
何かしらの課題を解決できるものでなければ、人は大切な時間やお金を使いません。例えば、少々言葉遊びのようですが、”つまらない”という課題を解決するためにゲームをしたり、”さみしい”という課題を解決するためにLINEでメッセージを送ったりします。

つまり、期待を得るためには、相手に「どんな課題を解決できるか」を伝える必要があり、期待に応えるには、その課題を実際に解決することが重要です。
より大きい信用を得るには、より大きな課題解決を期待されることが重要で、大体の場合で、まず小さな課題の解決を積み重ねることで、その次の大きな期待を得ることができます。

事業の立ち上げは、対象とする相手の”課題”は何かと考え、この人ならその”課題”を解決できるはずだ!と期待を得るためのプレゼンテーションを行うとこから始まります。

期待を盛ると、信用を失うリスクも高まる

大きな期待を得て、それに応えることで大きな信用が得られ、事業はとても大きくなります。
その一方で、期待を盛りすぎたあまりに、それに答えられないと、大きな信用の毀損のリスクも高まります。

所謂”炎上案件”と呼ばれるような、web制作などの現場でしばしば見られる現象は、大体の場合で、依頼側の期待値がとても高く、受注側がそれに答えられないことが判明した時点で起こります。

案件をとりたいがあまりに、期待を盛ったり、相手が勘違いしている状態であることを放置すると、信用の毀損に繋がります。
そういった意味で、”期待値設定”は、非常に重要なマーケティング活動のうちの1つです。

適切な期待値設定、継続的な”期待以上”の提供で、事業は拡大し続ける

事業を成長させていくためには、”ちょっと背伸びしているかな”くらいの期待値を相手に設定し、それを頑張って上回る、くらいの感じで進めていくのが良いと思います。

逆に期待値設定を凄く下げて、その期待を上回ったとしても、自分の能力は成長しないし、相手からの次の期待もそこまで高まらないので、事業は殆ど成長しません。

また、「期待値以上の成果の提供」を継続的に行うことも重要で、ずっとただ同じサービスを提供しているだけでは、いつか既存の顧客は離れていきます。

多分ですが、人の性質として、一度課題を解決されると、その相手への期待値は自然と高まるようになっています。

例えば、最初はiphoneでアプリが使えるだけで感動していたような人たちが、段々それに慣れるごとに「操作感が悪い」「動作が悪い」といった新たな課題を発見し、その解決を望み始めます。

apple社がその課題を解決した、iphone2を発売すると、顧客は感動し、「画質が悪い」「充電が持たない」「端末が重くて持ち運びがだるい」なんて課題もきっと解決してくれるだろうと考えるし、それが解決できなければそれは不満に変わります。

その対象への依存度が高まるごとにその期待値は高まり続けます。つまり、提供側は「継続的な期待値の上昇」まで見込んだサービス提供の仕組みまで構築することで、継続的な事業の拡大を実現できるのだと思います。

 

2.スタートアップの社会的な存在意義は「課題の発見」

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「人から課題解決の期待を受け、期待以上の解決を提供する」組織は、世の中にはたくさんあります。

今回の記事で説明したいのは、その中で「スタートアップ」と呼ばれる取り組みの立ち上げかたなワケですが、そもそも”スタートアップ”とは何か?という点も説明させて下さい。

何故こんな説明をするかというと、「スタートアップの事業を立ち上げる」ということは、他の組織に所属することや、それらを立ち上げることとは”根本的に異なる”と考えているからです。

どれも必要だけど、役割が違う

上記の5種類で全部というわけではありませんが(例えばNPOとかもあります)、スタートアップの説明がわかりやすくなりそうな組織を選びました。

どの組織も、重要な社会の構成要素で、例えば東京都庁がなくなったら東京都民はみんな物凄く困ります。ここで強調したいのは、「どれが大事」という話ではなく、「役割が違う」ということです。

また、その役割の違いを示すための指標として、
・課題の明確さ:対象とする相手の抱える課題が一般的にどの程度認知されているか
・解決難易度:その課題を解決することの難しさの度合い
・飽和度:その課題解決が対象全体に対しどの程度提供されているか
の3点を挙げさせて貰いました。

公共団体は、多くの人が当たり前に感じる課題を解決する

例えば、火事が起きたのにだれも火を消しにくてくれなかったら、みんなが困ります。
「火を消す人がいないとヤバイ」という課題はほぼ人類全員が認知している課題で、だからこそ全員がお金を払う税金によって、その解決を提供する消防隊は維持されています。

また、その解決は、「火事で燃えない家の開発」ではなく、「水をかけて消す」という、ある程度誰にでもできる、比較的簡単な方法によって提供されます。またその課題解決は、既に殆どの人に提供され、新たなマーケティングを行う必要はありません。
(今は水以上のものをかけていると思いますが、わかりやすくするための表現と思って下さい。)

公共団体は、「当たり前のことをしっかりできる」ような人が行うのに向いているように感じます。

大企業/中小企業は実は殆ど同じ

大企業、中小企業は、公共団体と殆ど同じですが、同じ課題に対してより難易度の高い解決方法を模索します。
例えば、火を瞬時に消す消化器を開発、販売したり、また、消防隊自体を高度なものにするための機械を販売したりします。

また、大企業と中小企業は、果たしている役割は殆ど同じですが、その対象とする相手の規模が大きいか、小さいか、という違いが有ります。

これらの業務は、「何かしらの専門知識を課題解決に使える、少し頭のいい人」が向いているような気がします。

技術ベンチャーは、ある程度知られた課題を、より高度な方法で解決する

例えば、「凄まじく計算速度の早いコンピューターを作れば、社会の生産性は遥かに高まる」ということはある程度知られています。
ところが難しいのは、”凄まじく計算速度の早い”を実現することです。

そこで、技術ベンチャーはその実現のために、量子コンピューターに関する実験を積み重ね、日々試行錯誤を繰り返します。
いつか実現したら凄まじいインパクトだし、それまではじっと耐えることが必要になります。

また、この人達は、「火事を一瞬で収める魔法の水」の開発にはトライしません。なぜなら、「火事を消したい」という課題は誰から見ても明らかで、既に今までに多くの人がそれを望み、トライしているはずです。

それにもかかわらず未だに「火事が一瞬で収まらない」ということは、技術的にそれは99.9%不可能ということになります。
課題が解決できなければ、その組織に存在意義はありません。

まだあまり他の人がトライしていなくて、解決見込みはあるが、その実現難易度がやたらと高い、のが技術ベンチャーで、コツコツとひたすら試行錯誤を続けられる人に向いているのかもしれません。

スタートアップは課題の発見から始まる

そして、スタートアップは、「そもそも広く一般に認知されていない課題」を解決します。

「ホテルの代わりに知らない人の家に泊まれないのが課題だ!」と主張しても、未だに多くの人が違和感を持つと思います。その感覚が社会にある限り、AirBnBはまだ暫く「スタートアップ」たりえます。

何故このような役割が社会にあるかというと、人口の増加や社会の多様化・変化の高速化、などによって、「既存の技術で十分に解決可能だけど、意識しなければ認知しにくい課題」が今多く生まれてきているからだと思います。

また、この領域では、「既存の技術で十分に解決可能」であるがゆえに、実はすでに多少似たような”課題解決”が提供されていたりします。
ただ、課題の定義の違いによって、その事業が「中小企業」に向かうか、「スタートアップ」となるかの違いが生まれてきます。

スタートアップは、技術ベンチャーと同じ理由で、火事問題の解決にはトライせず、多くの人が知らないけど、自分たちだけに見える課題に挑戦します。それは、実名でインターネットにプロフィールを掲載することだったり、PCのローカルデータを瞬時にクラウドで共有することかもしれません。

ここでは、人と違う方向に行く勇気や、技術を使いこなす知識の専門性が求められるように思います。

※蛇足:何故スタートアップや技術ベンチャーには投資が集まるか

その理由は、単純に「スタートアップや技術ベンチャーは儲かるから」です。
「スタートアップや技術が他より重要だから」とは思いません。どれも役割として非常に重要です。

何故儲かるかというと、「課題の発見」「高度な技術の開発」が他より難しく(リスクが高く)、またそれ故にその市場が飽和状態にないからだと考えています。

 

3.スタートアップは”極小”から始まる

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スタートアップの役割は”未発見の課題を発見”することで、であれば、課題を発見するためにどうすればいいか?というところに意識は向かいます。

”スタートアップは流れに乗るべき”という声をよく聞きますが、その”流れ”は、たしかに未発見の課題の発見に役立つことは多々あります。

しかし、それ以上に大事なことは、「たった一人」対象となる具体的な人物を思い浮かべて、その人の抱える重要な課題に焦点をあてることだと考えています。スタートアップは「たった一人=極小」から始まります。

「賛成する人がほとんどいない、大切な真実」はどこにあるか

paypal創業者であり、今や著名な投資家でもあるピーターティール氏は、スタートアップでは「賛成する人がほとんどいない、大切な真実」を知っていることが重要であると述べています。

確かにそれを知っていたら強そうだなーというのはわかる一方で、で、それは一体どこに行けば見つかるのでしょうか?

その問いに関する自分の考えは、「たった一人の課題に向き合うこと」です。

「ターゲットは30代のビジネスマン」の問題点

事業を考えるときのあるあるで、「このサービスの対象は、30代のビジネスマンです!」という説明をよく聞きます。
パット見特になにも間違っていないのですが、このカテゴライズでは、多分「賛成する人がほとんどいない、大切な真実」は見つかりません。

なぜなら、
「既にカテゴリーが確立されている」=「そのカテゴリーに向けた事業が既に成り立っている」
と考えているからです。
特に統計上の括りは非常にわかりやすいため、多くの人がそれを狙いますが、それ故に多くの真実が明らかになってしまっています。

初期のFacebookのターゲット

例えば初期のFacebookのターゲットは、ただの”大学生”ではなく、”実名のプロフィールをオンラインに掲載したい大学生”でした。
そのプロファイルに当てはまる人が多くいる「ハーバード大学」からFacebookが生まれたのは、そういった意味では必然的であったとも考えられます。

日本でも、昔見たFacebookが多く使われている大学のランキングは慶応大学でした。
慶応にいる人が海外と繋がりが多い、ということもあるような気がしていますが、もう一つ、慶応はやはりプロフィールに掲載したくなるブランド力があります。

そういった意味で、「実名プロフィールをオンラインに載せたい大学生」という慶応生に刺さっていたのだと思います。

そして、そういったカテゴリーは、いくら統計上の区分を見ても永遠に見つからないでしょう。

具体的な”一人”の課題、特徴を思い浮かべて、類似する人を探す

とは言え、未定義の区分を見つけるのは非常に難しいです。
なぜなら、区分を定義するだけであれば今度は逆に何とでも言えてしまうし、それがどのくらいの規模があるのか、本当に実在するかすらも考えてみると非常にわかりにくいからです。

だからこそ大事なのが、まずは「実際に知っていて、その名前、性格、所属、趣味などが明確にわかる具体的な1人」に目を向けることです。
まずはその人の抱える課題、また特徴などを考え、そしてその後で、それに類似する人がどのくらいいるか、という順番で考えることで、
「まだ未定義だけど、実在する人口区分≒スタートアップの適切なターゲティング」
を見つけることができます。

市場規模はその”後”で考える

この手の考え方を説明したときによく言われるのが「市場規模」の問題ですが、それは後で考えるべきと思っています。

これは、市場規模が重要ではない、と考えているわけではありません。市場規模がなければ一定以上の事業にはならないし、そうでなければ周囲を巻き込むこともできないので、事業化自体に大きな困難を伴います。

しかし、それでもなお、市場規模は、”具体的な1人”の後から考えるべき、と主張します。
理由はシンプルで、先に市場規模を考えてしまうと、既知のカテゴリーしか捉えられなってしまうからです。そのくらい”未定義のコミュニティ”を見つけることが大事だと考えています。

流れには自然に乗れる

もう一つ、冒頭で述べた”流れ”の話ですが、これも、若干極論のようになってしまいますが、「具体的な1人の課題を解決すること」に真剣に向き合っていれば、自然とその流れには乗れるだろうなと考えています。

例えば、ダイエットに悩んでいる人に、自宅でのダイエット方法を説明するのに、PCかスマホどちらのデバイスを使うかと言われれば普通にスマホを選ぶし、”動画を使う”というソリューションも当然出てくるでしょう。

もしそれが抗いようのない”流れ”なのであれば、意識せずとも乗れるようなものを、”流れ”というのだと思います。
例えばサービスをリリースしてユーザーが付いた後くらいからアイディアを振り返ってみて、それで改めて”こういう流れにのっているんだなーというのが意識できれば十分ではないかと思います。

 

4.事業化は不確かかつ重要なことから

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”極小”に目を向け、具体的な一人の課題を解決するアイディアを得た後に重要なのは、そのアイディアの”事業化”です。
事業化の”順番”は”アイディア”と同じくらい重要だと考えています。なぜなら、アイディアの実現の過程で、何度も大なり小なりサービスの軌道修正を行う必要があり、正しく軌道修正を行うためには、適切な順番を外してしまうとそれ自体ができなくなってしまうからです。

例えば、まだビジネスモデルが定まらない段階で大型な事業提携をしてしまうと、その提携が足かせになり、より適切なビジネスモデルへの修正ができなくなってしまう、なんてことは割とよくある話ではないかと考えています。

事業成立のための構成要素

事業化の順序を考える前に、事業成立のために成り立たせるための構成要素について考えてみます。
自分は、事業化を考えるときに、以下のような括りで構成要素を並べています。

※スモールビジネス向けのBtoB SaaSの例
(あくまで思いつきの例、くらいに思って下さい)

■ユニットエコノミクス成立のための要件例(実際はこの5倍位細かく区切ってます)
・サービスを提供することで、そのサービスを日常的に使ってもらえること(毎日ログインしてくれる、とか)
・サービスを使うことで、その目的が達成させられること(集客サービスであれば、そのサービスを使うことで、集客力が増すこと)
・そのサービスに対しお金を払ってくれること
・そのサービスに対し、その後も継続的にお金を払ってくれること
・LTVの期待値以下のコストで、顧客獲得が可能なこと
・その顧客獲得に再現性があること
・実際に利益が出せること

■急成長を実現するための要件例
・LTVをより長くすること
・より低い顧客獲得コストを実現すること
・成長のための投資分のコストを賄う資金を確保すること
・再投資できるほどの利益をだしていること
・より広い市場でサービスが受け入れられること

■競合優位性を築くための要件例
・ネットワーク外部性が効くこと
・技術的な優位性があること
・業界の権威に強固な繋がりを得ること
・圧倒的なブランドが築かれていること

■再発明、更なるイノベーションのための要件例
・海外で同様にサービスが受け入れられること
・新サービスを組織でシステマチックに生み出せること

あくまで例ですが、事業を事業として成立させるためには、
上記のような要件を満たしていく必要があります。

スタートアップ経営者の仕事は、上記のような要件を順番にクリアしていくこと、と言っても過言ではないでしょう。

”まずニーズの検証”が重要とは限らない

多くのスタートアップで、アイディアの事業化のために行われがちなのは、「ニーズの検証」です。確かにニーズのない事業をやっても意味ないので、多くの場合において「ニーズの検証」を真っ先に行うことは有効です。

しかし、近年のスタートアップではそうでもないことも多く見受けられます。
例えば、わかりやすいのが”フードデリバリー事業”で、”自宅までおいしいご飯をすぐに届けてくれる”事に関するニーズは誰が見ても明らかです。そういった場合には、「ニーズの検証」と称してプロトタイプ的に”とりあえずご飯を届けて欲しい人を募集”してもあまり意味がありません。なぜなら、それは前からわかりきっていたことだからです。

重要かつ”不確か”なことを最優先する

重要なことを最優先するのは当たり前ですが、そこにもう一つ、スタートアップでは”不確かさ”という尺度を加える必要があります。

何故多くの場合で”ニーズ”の検証が重要かというと、多くの場合で”ニーズ”は、
・それがないと事業もクソもない(超重要)
・本当にあるかどうかわからない(不確か)
だから、真っ先にその検証が行われます。

わかっていることは後でやればどうにかなりますが、簡単な話、「めちゃくちゃ甘いラーメン」みたいな事業を考えていたとして、その立ち上げ準備のために店舗を構え、器具の準備をして、そこで初めて「めちゃくちゃ甘いラーメン」を提供したところ誰にも受け入れられなかった、みたいになってしまうと、また最初から事業は立ち上げ直しになってしまいます。

その場合は、最初に店を構えるのではなく、それを喜んでもらえると想定できる知り合いに甘いラーメンを提供して、その感想を聞いてみるのがいいでしょう。

ただ、何度も言いますがこの話で重要なのは、”ニーズ”を先に検証しよう、ということではありません。
甘いラーメンが売れるかどうかは不確かかつ重要だから、真っ先に検証すべき、と考えています。

それは人によって、意志によって、変わってくる

スタートアップ立ち上げは、とても属人的なものであると思います。
なぜなら、例えばその人が実は「友達に甘いラーメンを提供したらめっちゃ喜んでもらえた」という原体験があるとしたら、その人は実は一見不確かかつ重要な「甘いラーメンにニーズがあるか」という点はクリアしています。その場合は多分次のステップで、「他の、赤の他人にも喜んでもらえるか」といった検証が入るかと思います。

また、変な話ですが、その甘いラーメンによって何を達成したいか、によって、事業立ち上げの構成要素、またその重要度や不確かさは変わってきます。
例えば少し極端になりますが、甘いラーメンをエンタメとして提供するのであれば、「それを食べる行為を楽しんでくれているか」という点の検証が重要になるし、そうではなく、甘いラーメンを健康のための食材として出すのであれば、そのラーメンを食べた結果健康になるかどうか、という点も重要になります。

誰の、どんな課題を解決したい事業なのかを明確に定義できていなければ、この優先順位はつけられないし、それは、その人の意志によって定義されてきます。

 

5.継続的な拡大

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自分の中で「事業化=ユニットエコノミクスが成り立つ(≒その事業に関して、出て行くお金より入ってくるお金のほうが大きくなる)」と考えていますが、「1.事業成長の基本原則」に基づいて考えるならば、社会の期待は膨らみ続けるので、更なる継続的な拡大、進化が必要となります。

そのためには、上図のようなプロセスを経る必要があるのですが、課題を解決することができたら、次にやるのはそれを仕組みにしていくことです。

仕組み化は最後

自分の印象では、この”仕組み化”が得意な人は、偏差値の高い層に結構多く、そういった人ほど真っ先に仕組み化から動いてしまう傾向を感じますが、仕組み化は”課題が解決できる”方法がわかってから初めて行うものです。

”初期は安易にコーディングしないほうが良い”というのもよく聞きますが、それも同じ論理で、意味のないことを仕組み化してもあまり意味はありません。
大きな組織や、学校では、何かを仕組み化できること、仕組みの中で正しく動けることをよく評価されるような印象がありますが、真っ先に仕組み化だけやっても無意味なものが増えてしまいます。

経営層は”課題の発見”を最優先で行う

課題の発見が最も不確かかつ重要で、難易度が高いです。
だからこそ、それに慣れた創業者、経営層が率先してその役割を担うべきと考えています。

図を見る限り、課題を発見しなければ物事はその次には進みません。つまり、課題の発見こそが最も事業の成長に大きなインパクトをもたらします。
はっきりとしたビジョン・ミッションがあって初めて「重要な課題」も定義されるため、創業メンバーはその辺を強く意識しながら日々の業務を行うことが重要なのかもしれません。

”誰のために”という部分は極力変えない

また、例えば新規事業を行うときに、今まで商売相手にしていたターゲットとは全く違う相手に、全くことなるビジネスを始めようとする例を多々みかけますが、自分はそれはあまり得策ではないと考えています。

新規事業を考えるときも、「この会社は誰のために働いている会社か」という点を強く意識し、そこだけはぶらさずに事業を行うと、その対象には他より詳しいから課題の発見がスムーズに行いやすくなるし、マーケコストなども省けます。

事業の立ち上げにも、拡大にも、”誰のために働いているか”という点を強く意識することが、成功のための重要なポイントであると考えています。

以上、気づけばとてつもなく長い文章になってしまいましたが、何より自分の頭の整理になりました。
これはまだver1という感じですが、今後もこの続きや、また修正は適宜やっていきたいなと思います!

最後までお付き合いありがとうございました〜

 

※1.これは、自分を大事にする必要はない、ということではありません。勿論、休んだり、自分のやりたいことをやることは大事なのですが、事業を考えるときは、まず第一に相手のことを考えた上で、その上で自分が快適に仕事をする道を探るべき、ということです。自分の身が持たなければ長い目で見て相手のためにもならないため、その点は矛盾しないと考えています。具体的には、「自分の好きな人」を相手に仕事をするのが、より多くの人が報われる道だと考えています。

※サムネイル画像はコチラから取得しました

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